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空き家を相続放棄しても管理義務が残るケースとは

202341日に施行された改正民法により、相続放棄をした者の管理義務に関するルールが大きく変更され、相続放棄をした者が負う空き家などの相続財産の管理義務から解放される可能性が出てきました。

本記事では、法改正のポイントと、空き家を相続放棄する際の注意点を解説します。

 

相続放棄と改正前の管理義務

 

相続放棄とは、被相続人が遺した預貯金や不動産などのプラスの財産と借金や保証債務などのマイナスの財産も含む全ての財産を、相続人が一切引き継がないという意思表示をいいます。

現行民法9401項は「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人...に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」と定めています。

相続放棄をした者が空き家を占有している場合には、次順位の相続人に引き渡して占有を移転させると管理義務(保存義務)が終了することになります。

なお、かつての民法では、相続放棄をしても、次の順位の相続人が財産の管理を始めるまで、放棄した者にも管理義務が残るとされていました。

 

 

法改正の内容

 

しかし、改正後の民法第9401項では、管理義務を負うのは「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているとき」に限られると規定されました。

この改正は、相続財産に全く関与していなかった相続人にまで管理義務を負わせるのは、相続放棄制度の趣旨に反するという考えに基づいています。

つまり、空き家を「現に占有」していなければ、相続放棄によって管理義務からも解放されることになったのです。

 

 

管理義務が問われやすい典型的なケース

 

改正後も管理義務が残るケースである「現に占有」している状態とは、その財産を事実上、支配・管理している状態をいうと考えられています。 具体的には、以下のケースが挙げられます。

 

■遠方に住んでいても、空き家の鍵を管理し、定期的に訪問して清掃や草むしりなどを行っていた場合

■遠方に住んでいても、定期的に訪問して修繕などメンテナンスを行っていた場合

■空き家を自身の物置として利用し、家財などを保管している場合 一方で、空き家の場所を知っているだけで一度も訪れたことがなく、管理に一切関わっていなかったような場合は、「現に占有」しているとは言えず、相続放棄をすれば管理義務を負わないと判断される可能性が高いです。

 

一方で、空き家の場所を知っているだけで一度も訪れたことがなく、管理に一切関わっていなかったような場合は、「現に占有」しているとは言えず、相続放棄をすれば管理義務を負わないと判断される可能性が高いです。

 

 

まとめ

 

「現に占有」しているか否かの判断は個別の事案によって異なります。

もし判断に迷う場合や、管理義務から確実に解放されたい場合は、司法書士などの専門家に相談し、適切なアドバイスを受けることをおすすめします。

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上田 浩司Hiroshi Ueda / 札幌司法書士会

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経歴

1978年11月29日生まれ。北海道苫小牧市出身。
苫小牧工業高等学校卒業。
平成20年、行政書士資格、平成23年に、司法書士資格を取得。司法書士法人アンドリーガルの代表として、様々な法律手続き・法律相談に対応する。

事務所概要

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名称 司法書士法人アンドリーガル
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